NTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンクなど携帯大手各社が、通信障害時に自社の契約者向けに提供している公衆無線LAN「Wi-Fi(ワイファイ)」を無料開放する方向で検討していることが25日、分かった。通信障害の発生が相次ぐ中、携帯大手は他社回線に乗り入れる事業者間ローミングでの対応を検討しているが、開始まで数年かかる見通しのため、早期に実現できる対策の一つとして公衆無線LANの無料開放に踏み切ることを決めた。近く総務省と携帯大手が発表する。
公衆無線LANは地震などの大規模災害時には、携帯大手のほか通信機器メーカーなど約200団体が参加する「無線LANビジネス推進連絡会」が無料開放するガイドラインを定めている。参加団体が提供するアクセススポットで、ネットワーク名(SSID)「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」につなげば誰でも利用できる。しかし、通信障害はガイドラインの対象になっていない。
このため、総務省や携帯大手は同連絡会に対し、通信障害時にも無料開放できるようガイドラインの改定を提案している。しかし、障害時の無料開放にはコスト負担面などで異論もあり、参加団体数が多いこともあって連絡会内で調整が進んでいない。
事態を打開するため、総務省や携帯大手は通信障害の発生時に公衆無線LANを無料開放し、携帯会社の契約者が飲食店や駅などで提供されている各社のアクセススポット経由で、データ通信を利用できる仕組みの導入を検討することを決めた。
具体的には、通信障害時に携帯大手のアクセススポットで「00000JAPAN」のSSIDに接続できるようにしたり、携帯大手が障害時専用のSSIDを新設したりすることなどを検討する。
昨年7月のKDDIの通信障害時には、ショッピングモールなどで公衆無線LANが活用され、対応策として十分に機能したことが総務省の有識者会議で報告されている。