統一地方選の前半戦の埼玉県議選(31日告示、4月9日投開票)で、立憲民主党や共産党は最大会派の自民党ほど多くの候補者を擁立できていない。政党支持率の低迷や高齢化による組織の弱体化で、互角に渡り合える選挙区が少ないとみているようだ。〝少数精鋭〟で臨み、国政の支えにもなる地方議員を少しでも増やしたい考えだが、取りこぼしがあれば、さらに埋没する状況を招きかねない。
「枝野幸男さんから党の代表を引き継いだ」
立民の泉健太代表は25日、JR浦和駅(さいたま市浦和区)前で演説し、枝野幸男前代表(衆院埼玉5区)の名前に繰り返し触れた。聴衆はざっと数十人。県ゆかりの枝野氏にあやかり、少しでも党をアピールしたい思いが透けた。
岸田文雄首相が子育て支援を掲げながらも、来年度予算の関連費用は前年からあまり増えないとして「だまされてはいけない。予算の使い道を変えるために力を与えて」と訴えた。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が18、19両日に実施した合同世論調査では、自民の支持率37・7%に対し立民は5・8%。県連幹部は「自民に旧統一教会などの問題があっても、立民に追い風は感じない」とこぼす。
立民は今回の県議選で12選挙区に計12人の公認候補を擁立。10人を立てた前回選からわずかに増えたが、39選挙区は公認候補がいない状況だ。県連の田並尚明幹事長は「他にも出したいところはあった。私の不徳の致すところ」と話す。
田並氏は「今回は候補者全員が当選して地域を支える根っことなり、衆院議員を増やしたい」として〝長期戦略〟を進める構えだ。
一方、共産の志位和夫委員長も25日に埼玉県入りし、JR川口駅(川口市)前で支持を呼びかけた。
防衛力強化にかじを切る岸田政権を批判した上で、党首公選制を訴えたジャーナリストの除名処分を「異論封じ」と批判する報道機関への反論を展開し、「反共バッシングには共産党躍進という回答を突き付けよう」と声を張り上げた。
共産は今回の県議選で9人の公認候補が立候補を予定する。議案提案権が得られる8議席以上の獲得を目指すが、9人のうち7人が新人で、厳しい戦いとなるのは必至だ。県委員会関係者は「支持者も党員も高齢化している」と話し、組織力の低下も懸念される。
「対自民」の旗幟(きし)を鮮明にした泉、志位両氏だが、どこまで牙城を崩せるか。令和元年知事選で支えた大野元裕知事の自民への歩み寄りもみられる中、返り討ちにあうようなことがあれば、党の勢いをさらにそぐことにもなりかねない。