【ワシントン=大内清】シリアで23~24日、米軍が主導する有志連合の施設にイラン革命防衛隊系のグループによるとみられる攻撃が相次いだ。こうした事態は、イランに対話路線をとってきたバイデン米政権の威信をいっそう傷つけたといえる。ウクライナ侵略を続けるロシアと、覇権的行動を強める中国への二正面対応を強いられているバイデン政権に、中東への軍事的関与を強化する余力は乏しい。イラン側は事態のエスカレートを避けたい米国の思惑を見透かした上で攻撃を仕掛けている。
24日午後、訪問先のカナダ首都オタワで記者会見したバイデン大統領は、イラン側によるとみられる前日の無人機攻撃に対して即座に報復したことを誇りつつ、こう語った。「イランとの衝突は望んでいないが、(攻撃に対しては)全力で人々を守る」
だが、この数時間前にシリアでは有志連合の施設が2度目の攻撃を受けていた。イラン抑止に自信を示したバイデン氏としては最悪のタイミングだ。