グーグルは、いかに検索結果を最適化しているのか “中の人”が語る5つのポイント

グーグルは最適な検索結果を表示するために、1年間で数千にも及ぶ変更を「Google 検索」に加えているという。こうした変更は何を基準に実施されているのか。グーグルの専門家たちに聞いた。

「Google 検索」は人知れず進化を遂げている。長年のユーザーであったとしても、ホームページのデザインが変わったときにしか目にとまらないかもしれない。だが、グーグルは検索結果とユーザーエクスペリエンスを改善するために、1年間に何千回も検索機能を更新しているという。それにもかかわらず、こうした更新は150言語で1日に何十億もの項目を検索する数百万人のユーザーの目には見えない。

そこで、どのような変更が施され、どう実装されているのかをグーグルに尋ねてみた。そして「Google 広告」と「Google ショッピング」にまつわる質問も投げかけている。検索やその他のサービスが見えないところでどのように進化を遂げているのか、グーグルの専門家たちが教えてくれた内容を紹介しよう。

1.いかに変更点は決まるのか?

何十億ものウェブページから関連性と信頼性のあるページを判断するシステムは自動化されている。だが、こうした自動システムが機能するには、多数のチームが多大な労力を費やして細かく調整し、判断しなくてはならない。

「このような規模と複雑さのなかで、優れた検索結果を提供するには多種多様なシステムが必要です。最善の検索結果を表示できるように、常にこうしたシステムの改善策を考えています」と、グーグルの検索部門でパブリックリエゾンを務めるダニー・サリヴァンは語る。

サリヴァンによると、Google 検索に加えられる変更は、厳格なテストを経てから新たに実装されるという。グーグルは70万回以上のテストを2021年に実施し、結果として検索エンジンに約4,000の改善を加えた。

「こうした評価や実験から得たデータは、経験豊富なエンジニアや検索アナリストのほか、法務やプライバシーの専門家も徹底的に確認します。こうした専門家が変更を承認して、公開するかどうかを決めるのです」と、サリヴァンは言う。

2.次なる検索方法は?

検索方法の微調整をはじめとする変更点の多くは、検索に文脈を生み出すために加えられている。そして、サリヴァンが「より自然で直感的」と説明する方法でユーザーが検索できるようにすることを目的としているのだ。

例えば、スマートフォンアプリ「Google」に搭載されている「マルチ検索」では、「Google レンズ」を使って画像とテキストを組み合わせて検索できる。そして、まもなく公開される「Multisearch near me」と呼ばれる機能では、マルチ検索に周辺の情報を追加することが可能だ。例えば、食べ物の写真を撮影して「近くの店」という検索ワード組み合わせることで、近場の店舗を表示してくれる。

サリヴァンによると、グーグルは知らない街の探索をはじめとする検索内容を、より視覚的なものにすることに力を入れているという。これにはコンテンツクリエイターや一般ユーザーが手がけたコンテンツが検索結果に組み込まれるようだ。

こうした手法は、説明動画のクリエイターといった実在する人物から直接受けられるアドバイスを探す新機能にも適用される。「Discussions and forums」と呼ばれるこの機能は、興味のあるトピックについて専門家(または自分が専門家だと思っている人)が徹底的に議論している会話へと導いてくれるかもしれない。

もしかするとすでに気づいているかもしれないが、モバイル端末とPCでは異なる検索結果が表示される。モバイル端末では、読み込みが速く、画面上でうまく表示されるコンテンツの表示順位が高くなるのだ。

「ほかの要素がすべて同じであれば、モバイル端末に最適化されたコンテンツを優先的に表示します」と、サリヴァンは語る。「また、正しいアプリストアへのリンクなど、使用しているデバイスにとって価値のあるリンクも表示します」

サリヴァンいわく、グーグルは実在の人物がつくったコンテンツを上位に表示するために検索順位を並び替える方法に変更を加えたという。検索エンジンに最適化した質の低いコンテンツを大量に配信するサイトを上位に表示するためではない。こうした変更は、商品レビューページの検索結果を改善する取り組みなどと並行して実施されているようだ。

検索エンジンで表示順位が高くなるようにウェブページを最適化するSEO(検索エンジン最適化)自体に問題があるわけではない。「SEOのおかげで関連コンテンツのある場所と内容を把握できるのです」と、サリヴァンは語る。「SEOは検索結果の上位に表示されるようにするための特別な方法ではありません。重要なのは検索エンジンではなく、人間にとって役に立つコンテンツを作成することです。これはわたしたちがすべての人に長年アドバイスしてきたことです」

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