ローソンは24日、運転手の負担が大きかった大都市圏での1日3回配送を見直すなど配送業務を簡素化すると発表した。来年4月にトラック運転手の残業上限が規制され深刻な人手不足が懸念される「物流の2024年問題」を1年後に控え、物流網の混乱を防ぐため、小売り各社が効率的な配送に知恵を絞っている。
ローソンはこれまで全国の約7割にあたる大都市圏の店舗で、弁当や総菜を中心に毎日3回配送してきた。今年12月以降は、深夜と朝の配送を集約することで段階的に2回配送へと切り替える。大都市圏以外では既に2回配送へ変更を進めている。
ローソンは配送業務を社外に委託している。3回配送の場合は運転手を終日拘束することになるが、2回配送に切り替えることで、物流業者は空き時間に他社の配送業務を請け負える。
カップ麺やペットボトル飲料などの常温商品と冷凍商品も来年1月から配送を見直し、需要が少ない日はトラックの台数を減らす。
一連の効率化を通じて、配送による二酸化炭素(Co2)排出量を約8%減らせると試算。また、物流網の混乱を防ぐことで、自社の配送業務も中長期的に円滑化できると考えている。
「物流24年問題」に取り組むのはローソンだけではない。同じコンビニ業界ではファミリーマートが効率的な配送ルートを提案する人工知能(AI)を導入。配送コストの削減や、運転手の負担軽減につなげる。
課題解決に向け競合する小売り各社が協力する動きも広まる。九州を拠点に展開するイオン九州などの小売り10社以上は、近接する店舗に同じトラックを使って配送する仕組みを構築した。共同配送は食品メーカーなどでも広まりつつあり、ライバル同士が手を組み課題解決へ挑んでいる。
物流の2024年問題 トラック運転手の残業の上限を年960時間に規制する労働基準法が令和6(2024)年4月に物流業者に適用され、深刻な人手不足が懸念される問題。施行から5年間の猶予があったにもかかわらず、業界で長時間労働が是正されず、危機感が強まっている。背景にはインターネット通販の普及による荷物の増加に加え、低賃金や高齢化による担い手不足がある。(飯嶋彩希)
物流の2024年問題 トラック運転手の残業の上限を年960時間に規制する労働基準法が令和6(2024)年4月に物流業者に適用され、深刻な人手不足が懸念される問題。施行から5年間の猶予があったにもかかわらず、業界で長時間労働が是正されず、危機感が強まっている。背景にはインターネット通販の普及による荷物の増加に加え、低賃金や高齢化による担い手不足がある。