欧米で利用禁止措置が進む中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を巡っては、国内でも機密情報を扱う政府職員のスマートフォンで利用が禁止されたほか、国民民主党も所属国会議員らの利用を禁止した。しかし、直接、TikTokなどの中国のアプリやサービスの利用を制限するルールは存在しないのが実情だ。日本政府は、会員制交流サイト(SNS)全般で情報を取り扱う際のルールを定めているだけで、より直接的な対応を求める声が強まる可能性もある。
政府では、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が政府機関職員によるTikTokの利用制限などを所管している。令和3年度改定の「政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準」で機密情報については交流サイト(SNS)やクラウドサービスで利用することを禁止。機密情報以外の情報についてもSNSなどで利用する際にはNISCに相談することを、昨年12月策定の「調達行為を伴わないSNS等の外部サービスの利用等に関する申合せ」で定めている。
しかし、2つのルールとも、直接的にTikTokなどの特定の国やサービスを想定したものではない。NISC関係者は「しっかりとサービスのリスク評価をした上で使用の可否を判断している」として対策に問題はないと強調する。