【パリ=三井美奈】フランスのマクロン政権が年金改革法案を強行採決したことに対する抗議デモが23日、国内各地で行われ、内務省によると全国で100万人以上が参加した。パリの観光地、オペラ座前ではごみや商店が放火され、警察とデモ隊が衝突した。
法案は、年金受給開始年齢を現在より2年遅らせて64歳にする内容。政府は20日、憲法で認められた強権を発動し、下院審議を打ち切って国会で法案を成立させた。マクロン大統領はテレビで、少子高齢化に対応した「必要な改革だ」と正当性を主張したが、法案の強行採決には「民主主義を踏みにじった」という反発が広がった。
23日のデモは、法案撤回を求めて労働組合が呼びかけた。パリ郊外のシャルル・ドゴール国際空港ではターミナルが一時封鎖され、西部ロリアンでは警察署が放火された。若者も多数参加し、パリの学生街カルチェラタンでは高校が占拠された。デモにあわせて交通機関やごみ収集のストが各地で続くなど、各地で混乱が広がっている。