日曜夜のSNSには「#どうする家康反省会」のタグを付けた書き込みが飛び交う。大河ドラマの出来が熱く語られるのは、酷評も含めて熱心なウオッチャーがいる証しだ。その主人公、徳川家康のことを「かつてすごく好きだった」という岸田文雄首相が気になることを口にした。被災地、福島県相馬市で開いた中学生との対話集会で、なぜ首相を目指したかと問われて「日本の社会で一番権限の大きい人なので」と答えた。
元日付の本紙朝刊に載った歴史学者、磯田道史さんとの新春対談で、首相は山岡荘八の小説「徳川家康」全26巻を通読したことがあると明かした。5、6年前だというので、当時の安倍晋三首相の下で長く外相を務め、自民党政調会長にスライドした前後の時期だと推察される。
首相は中学生たちに向かって「こうあってほしいと思うことを先頭に立って実現しようとか、やめてほしいと思うことを先頭に立ってやめてもらうとか、そういう仕事をしたいと思って政治家を目指した」と説いた。長編を耽読(たんどく)していた雌伏の時期にもそう思っていたかは定かでないが、いろいろと想像はできる。