人工知能(AI)の進化が話題になっている。米オープンAIが開発した「チャットGPT」は、質問に応答するだけでなく、簡単な示唆を与えるだけで詩や短編小説を書いたり、長い文章を短く要約したりする。前後の文脈を読んで答えるので、質疑応答を続けるだけ続けることができる。高精度の会話が可能な言語AIとして、目下、大変な注目を集めている。
実際使ってみると、確かに何でも答えてくれるという印象を受けた。「量的緩和政策の問題点は?」と聞くと、バブル経済のリスクや、インフレのリスク、金融政策にできることには限界があるなど、一般によく言われている問題点を簡潔にまとめて回答してくる。経済学の試験やレポートで単位をもらうには答えが簡潔に過ぎるが、世間一般で何が言われているかを知るには便利である。
ただし、まったく事実と異なる回答をすることもある。「京都学派の代表的な人物は?」と聞くと、哲学者の西田幾多郎の名前ではなく、「田中儒治」や「粟田明」というまったく架空の人物を、あたかも実在した哲学者であるかのように紹介してくる。