国による生活保護費の基準額引き下げは生存権を保障した憲法に違反するとして、受給者3人が青森、八戸両市による減額処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、青森地裁(鈴木義和裁判長)は24日、処分を取り消した。大阪、熊本、東京、横浜、宮崎の各地裁に続き6件目。
同種訴訟は29都道府県で起こされ、15件目の判決。鈴木裁判長は判決理由で物価動向を踏まえた減額(デフレ調整)について「統計などの客観的数値と合理的関連性を欠き、また専門的知見と整合せず、判断過程に過誤、欠落がある」と指摘。引き下げは「厚生労働相の裁量権の範囲を逸脱、乱用したもの」と判断した。
判決などによると、厚労省は2008~11年に物価が下落したとして、13~15年の3年間で生活保護費を引き下げ、計約670億円を削減した。