【シンガポール=森浩】南シナ海の領有権をめぐり対立する中国とフィリピンは23、24日、緊張緩和に向けた外交当局間の協議を行った。AP通信によると、中国側は席上、米軍が比国内で存在感を拡大させていることに不満を表明。対立の解消につながる成果は乏しかったとみられる。
協議はマニラで行われ、フィリピンからはラザロ外務次官、中国からは孫衛東外務次官が出席した。孫氏は「話し合いで意見の違いを適切に処理したい」とも述べたとしている。
一方、ラザロ氏は南シナ海問題に「威嚇で対応するべきではない」と述べ、中国の動きを牽制(けんせい)した。
中比は1月の首脳会談で、南シナ海問題を「友好的な協議」で処理することで合意した。ただ、2月に中国船がフィリピンの巡視艇にレーザーを照射したほか、操業中のフィリピン漁船への妨害行為も日常化するなど、中国が威圧的行動を改める気配はない。
マルコス氏は中国をにらんで安全保障面で米国との関係を重視する姿勢を見せており、2月には比国内で米軍が巡回駐留できる拠点を4カ所追加することで米側と合意した。同氏は、4拠点には台湾海峡に近いフィリピン北部が含まれるとの見通しを示している。