【ニューヨーク=平田雄介】トランプ前米大統領が不倫発覚を防ぐため違法行為に関与したとされる疑惑で、東部ニューヨーク州の検察は23日、トランプ氏が「ウソの逮捕予告」をでっち上げ、共和党の政治家による「検察捜査に対する前代未聞の調査」を引き起こしたと非難した。
同州マンハッタン地区のブラッグ地方検事は、トランプ氏が当選した2016年大統領選の投票日の直前、同氏と不倫関係を持ったと主張するポルノ女優への口止め料を支払った疑惑を巡り、違法行為の有無を調べている。
トランプ氏は18日、自らの交流サイトに「火曜日(21日)に逮捕される」と投稿し、支持者らに「抗議しろ。国を取り戻せ」と訴えた。これを受け、共和党のジョーダン下院司法委員長らは、24年大統領選に出馬表明している同氏を標的とする「不当な選挙介入だ」と主張し、州検察に「ブラッグ氏の証言と捜査情報の提供」を要求した。
州検察は23日、ジョーダン氏らに宛てた書簡で「刑事訴追の妥当性は裁判所が判断する」と反論し、要求は「州の権限を侵害している」と非難した。
米メディアによると、州の大陪審は23日も疑惑に関する審理をせず、刑事訴追の可否を巡る判断は来週以降に持ち越される。大陪審は月、水、木曜に招集されるのが慣例で、審理再開は早くても27日となる。