「映え」にまぎれる闇バイト 若者引き込む手口は

闇バイト募集のイメージ
闇バイト募集のイメージ

警視庁が24日に公表した、特殊詐欺の実行役らと「闇バイト」を巡る分析では、交流サイト(SNS)を通して犯罪グループ側が、あの手この手で若者らを実行役として犯罪行為に引き込んでいく実態が改めて浮き彫りになった。

《運搬してくれる方お願いします》《タタキ、受け子(UD)などリスク高いものとは無関係です》

若者らが多く利用している交流サイト「インスタグラム」には、影響力のある有名人らの投稿や、反響を狙った「映える」写真の投稿に交じり、犯罪グループのものとみられる「誘い文句」も確認される。警視庁によると、特殊詐欺や強盗の実行役募集の主流はツイッターだが、インスタを利用した募集もあるという。

社会的な知識が乏しい若者らを実行役に多く引き込もうとする狙いもあるとみられ、警視庁が今回公表した令和4年に特殊詐欺で摘発された者に占める10~20代の割合は6割を超えていた。

令和4年に特殊詐欺の被疑者として警視庁が検挙した人
令和4年に特殊詐欺の被疑者として警視庁が検挙した人

2月に札幌市の貴金属店で計約1700万円相当の腕時計などが盗まれた事件で、逮捕された16歳と19歳の男子高校生も闇バイトに応募していた。昨年12月に東京・渋谷の貴金属店でネックレスなど約270万円相当が盗まれた事件など16件に関与した少年グループの1人も「インスタの闇バイトに応募した」と供述している。

《荷物や書類を受け取り運ぶだけの簡単な仕事》《ハンドキャリー》。SNSでは、犯罪に関わる直接的な文言を避けて、若者らを引き込んでいる実態もあるという。

応募してきた若者らには「テレグラム」や「シグナル」といった一定期間が経過するとメッセージが自動的に消去される通信アプリを携帯電話に入れるように指示。その上で運転免許証などの身分証の画像を送らせることが多いとする。

警視庁は「仕事の指示をメッセージが消えてしまうアプリでするのは、怪しいと思って」とし、若者らに警戒を促している。

グループは身分証で個人情報を握り、若者自身や家族への危害をにおわせて脱退を防ぎ、次々と犯行を指示するとされる。警視庁生活安全総務課の総崎(ふさざき)由希課長は「やめたくても抜けられず、深みにはまるケースが目立つ」とし、関与した場合は早めに警察に相談するよう呼び掛けている。(橘川玲奈、内田優作)

ツイッターで闇バイト応募 特殊詐欺犯の4割超 警視庁分析

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