死産した双子の遺体を自宅に放置したとして死体遺棄罪に問われ、24日に最高裁が逆転無罪を言い渡したベトナム国籍の元技能実習生、レー・ティ・トゥイ・リンさん(24)の事件では、妊娠を理由に帰国を強要されたり支援環境の乏しさから孤立したりするなど、技能実習生を巡る問題が浮き彫りになった。政府は現在、制度の見直しについて有識者会議で議論を進めており、今秋にも最終報告をまとめる見通しだ。
妊娠・出産を理由に実習先の事業者が実習生を解雇することは法律で禁じられている。だが出入国在留管理庁が昨年、実習生650人に実施したアンケートによると、こうした事実を「知らない」と答えたのは25・8%。5・2%に当たる34人は「妊娠したら仕事を辞める」という書類に署名させられた経験もあった。
日本に送り出した母国の機関などから「妊娠したら仕事を辞めてもらう」と言われた経験があるのは26・5%。今回、無罪となったリンさんと同じベトナム出身者では25・8%だったが、タイ出身者では41・9%が「言われたことがある」と回答している。
入管庁によると、実際に実習生が妊娠・出産した場合、日本人と同様、休暇の取得や出産時の一時金の支給制度があり、出産で母国に一時帰国したとしても、日本に戻って技能実習を再開できる仕組みになっている。
だが、そうした制度の存在を認識しているのは実習生全体の5割に満たない。入管庁は、実習生向けの多言語のパンフレットを公表するなどして、周知を図っている。(荒船清太)