【ワシントン=坂本一之】米議会の下院エネルギー・商業委員会は23日、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の周受資・最高経営責任者(CEO)を呼び、公聴会を開いた。周氏は、中国への情報漏洩(ろうえい)に対する懸念に対し、「米国のデータは米国で保管される」などと述べ、懸念の払拭を図ったが、脅威を追及する質問が相次いだ。周氏が米議会の公聴会で証言するのは初めて。
周氏は中国共産党による情報操作や利用者情報の漏洩の可能性を問われると、「中国政府の要請でコンテンツを宣伝したり削除したりすることはない」と説明。米国の利用者情報を中国政府や共産党と共有することはないと主張。TikTokの親会社である北京字節跳動科技(バイトダンス)についても「中国政府が(株式を)所有しておらず、民間企業だ」と述べたが、議員側は共産党や中国政府との関係を追及した。
TikTokをめぐっては、昨年12月に成立した法律で連邦政府の公用端末でのアプリ利用が禁止された。議会では米国内でのTikTok利用を全面的に禁止する権限を米政府に与える法案を審議している。またバイデン米政権は、バイトダンスに対しTikTok株式の売却を要求し、応じない場合は米国でのアプリ利用を禁止する可能性があると警告した。
米メディアによると、バイトダンスの従業員らが米国人記者を監視しようとした問題で連邦捜査局(FBI)と司法省が捜査を行うなど、TikTok利用をめぐる懸念が高まっている。