米世論調査6割がTikTok禁止を支持 議員は脅威を指摘

TikTokのロゴ(AP=共同)
TikTokのロゴ(AP=共同)

【ワシントン=坂本一之】米議会下院が23日に開いた公聴会で、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の周受資・最高経営責任者(CEO)は中国共産党の関与を否定し安全性を訴えたが、脅威を指摘する議員の声がやむことはなかった。最新の米世論調査では約6割の人がTikTokの利用禁止を支持している。

周氏は、公聴会でTikTokの利用者情報などが中国政府に渡る恐れを指摘されると、データを米国内で保護すると説明。「中国政府がデータにアクセスできる痕跡を見たことがない」と否定した。

しかし、中国は2017年に諜報活動への協力を組織や個人に義務付けた国家情報法を施行。軍事や外交で大国間競争を米国に仕掛ける共産党政権への懸念は収まらなかった。

米議会では、野党の共和党が主導権を握る下院の外交委員会で今月1日、TikTokの米国内利用を禁じる権限を大統領に与える法案を可決。7日には上院の超党派議員団がTikTokなど米国の安全保障の脅威となる外国の通信技術の禁止権限を政府に与える法案を発表した。

同法案を主導したのは民主党のウォーナー議員で、バイデン政権(同党)は法案の支持を表明し、早期の可決を議会側に求めた。

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は「米国人の機密データや国家の安全保障を危険にさらすことを防げる法案だ」との声明を発表した。

24年大統領選での再選に意欲を示すバイデン氏にとって、議会が「国家の脅威」と訴えるTikTokへの対処で弱腰姿勢を見せることは難しく、脅威に立ち向かう姿勢を示した格好だ。法案成立には上下両院の本会議での可決とバイデン氏の署名が必要で、1億5000万人超の利用者を抱える米国の世論動向も注目されている。

米CBSニュース(電子版)が23日に公表した世論調査では、TikTokを耳にしたことがある人のうち、56%がTikTokが米国に安全保障上のリスクをもたらすと回答。米政府による利用禁止措置を支持する人は61%に達した。

連邦捜査局(FBI)のレイ長官がTikTokに関し「中国政府の管理下にあるツールであり、米国の安全保障上の懸念だ」と訴えるなど、中国政府が米世論の誘導に利用する恐れなども指摘されている。

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