立憲民主党が、憲法改正手続きを定める国民投票法改正をめぐっても孤独な戦いを強いられている。憲法改正の賛否を訴えるテレビCMやインターネット広告の規制を訴えるものの、自民党や日本維新の会などは民放連による自主規制に原則委ねるべきだと主張しているためだ。立民案に関しては他党から「表現の自由の重大な制約」などの厳しい声も寄せられている。
衆院憲法審査会は今月16日と23日、立民が改憲論議よりも重視している国民投票法改正について議論した。立民はこれまで資金力の差によって公平性が確保できなくなるとの観点から、CMや広告の規制を盛り込むべきだと主張。23日も野党筆頭幹事を務める中川正春元文部科学相が「政府による番組介入はあってはならないことだ。一方で、情報の公平性を保つためには法律によるCM規制は必要だ」などと訴えた。
ただ、立民の主張は広く共感を集められていない。23日の憲法審で自民の山下貴司元法相は「国の根本規範である憲法に関する意見表明は国民主権の基礎とも言える重要な権利だ」と強調。その上で立民案について「公職選挙法に定める選挙運動の規制よりもはるかに厳しい政治的表現の自由の重大な制約と言える」と懸念を示した。
定期的な見直しが必要な国民投票法の改正の有無を憲法改正の前提条件とすべきではないとの意見も相次いだ。現行の国民投票法は付則でCM規制やネット対応について「検討事項」としているが、公明の北側一雄副代表は23日、「憲法本体の議論や憲法改正発議を妨げるものではないことは(立民も含め)これまで憲法審で確認されている」とクギを刺した。また、維新幹部は「立民は改憲論議を前に進ませないために国民投票法を使っているのではないか」と語った。(内藤慎二)