「野球で一番面白いスコアは8対7」。野球好きなら誰でも知っている言葉である。大リーグ通として知られるエッセイストの向井万起男さんによると、出所は米国の第32代大統領、フランクリン・ルーズベルトの手紙だった。
▼新聞記者に野球への熱い想(おも)いを書き連ねている。1対0という投手戦も嫌いではないが、乱打戦の方が好きと告白する。「8対7のように」(『人に言いたくなるアメリカと野球の「ちょっとイイ話」』)。
▼1対0でも8対7でもない、3対2のゲームが最高ではないか。第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝を観戦して思い至った。日本が米国に競り勝ち、3度目の頂点に立った昨日の試合はハラハラドキドキの連続だった。