IT化も名刺は共有されず
――ビジネスシーンでは紙の名刺が非常に多く使われ、「名刺を起点にビジネスを変えていこう」という考えの企業はまだ少ないようです
「紙の名刺を会社で管理するにしても、名刺ファイルに入れて会社で保管するだけでは、個人で保管するのとあまり違いがありません。ファイルが会社の棚にあるのか、個人の机にあるのかの違いだけです。つまり、紙の名刺をそのまま保管していた時代には、たとえ会社で管理したとしても、それを有効に使う手段がなかったのです」
――企業のIT化が進み、社員がスマートフォンを持つ時代になっても、「名刺を会社で共有する」という発想が生まれないままです
「でも、社員のみなさんは業務でスマホやパソコンを使いますから、名刺情報をITで管理しようと思うはずです。その中で出てきたのが、フリーの名刺管理サービスです。会社は『DX(デジタルトランスフォーメーション)だ!』と言うのに、名刺は管理してくれないので、フリーの名刺管理サービスを使い始めた人が国内ですでに数百万人いるといわれています」
――フリーの名刺管理サービスは情報管理に課題もあります
「使用にあたっては『名刺は個人情報である』という点に注意しなければなりません。個人がフリーの名刺管理サービスを使ってデータベースのように名刺を検索できるようにすると、これは個人情報保護に伴う法律でいう『個人情報データベース』という扱いになります。つまり、社員が業務上、取得した名刺をフリーの名刺管理サービスに登録すると、会社が管理すべき個人情報データベースになってしまうのです」
「ところが、多くの会社はまだ組織として名刺情報を管理していないので、社員の人たちはそれぞれ個人の名義でフリーの名刺管理サービスを契約することになります。会社としては『社員が勝手にやっていること』という認識なので管理対象になっていない。言い換えればフリーサービスの存在自体を把握できていない―というような状況が広がりつつあるわけです」
――個人は個人情報保護に関する法律に必ずしも精通しておらず、フリーのサービスの場合、法律上問題のある使い方になっているケースも散見されます
「フリーや有償の名刺管理サービスでは、システムに取り込んだ名刺のテキストデータや名刺画像が利用終了時に一切入手できない場合や、登録したデータの一部しか入手できない場合もあり、他のシステムで利用することは容易ではありません。SKYPCEではこのような〝ベンダーロックイン〟という情報の囲い込みになることを避けるため、契約を終了される際には、お客さまがスキャンした名刺画像やテキストデータ、入力した情報をお客さまに返却できるようにしています」
情報を共有して営業に活かす
――「名刺を会社で共有する」システムとして、現在さまざまな名刺管理ツールが提供されています
「私たちも自社でSKYPCEを開発する前は、法人向けの名刺管理サービスを利用していたことがありました。ただ、そのサービスでは『いつ、誰が、誰と名刺交換をしたか』という情報しかなく、営業活動の実態把握はなかなかできませんでした」
「このような実体験が、名刺情報を活用して営業支援機能を高めるというSKYPCEの発想のきっかけになりました。私たちは名刺をデジタル化するだけではなく、その情報を会社内で共有し、営業活動に活(い)かして収益を上げていただくことにこそ価値があると考えています。SKYPCEを通して、これまでにない新しい営業スタイルを確立し、お客さまの業績に貢献していけたらと思っております」
――SKYPCEはオンプレミス版だけでなく、新たにクラウド版をラインアップに加えました
「オンプレミス版は『名刺情報を自社の管理下に置き、データを自由に扱うことができる』という点を評価いただいていましたが、長引くコロナ禍や半導体の高騰などの影響で、『新規のサーバー設置ができない』『情報システム部門の採用が難しく、サーバーの管理者が不足している』といった会社が増えるなど、状況に変化がありました」
――取り巻く環境の変化でニーズも多様化したということですね
「お客さまのご要望に応えるためには、オンプレミス版だけでは限界があります。そこで、SKYPCEでは今回新たにクラウド版、いわゆるSaaSのサービスを提供することにしました。クラウド版のメリットは、サーバーを設置・管理する必要がなく、導入しやすいという点にあります。SKYPCEはオンプレミス版でもクラウド版でも同じ機能が利用いただけるように設計されています。どちらを選ぶかはサーバーや名刺データの管理体制がポイントになってきます」
「営業活動において重要なデータである名刺情報は、自分たちの手で管理したいというお客さまにはオンプレミス版がおすすめです。もちろんIaaS形式でデータをクラウド上に置くこともできます。それに対して、『会社にサーバーを設置することができない』『名刺データをクラウド環境で保存することをセキュリティー上のリスクとして許容できる』というお客さまには、クラウド版をおすすめしています。オンプレミス版とクラウド版から選べるのはSKYPCEだけなので、お客さまの環境に合わせて、最適なものをご提供できればと思っています」
商談前の関係づくりをサポート
――SKYPCEを活用することで、どのように営業支援の幅を拡大できるのですか
「名刺とは、営業担当者がお客さまとお会いしたときに交換するもの。その時にちょうど商談につながれば案件として営業支援(SFA)ツールなどに登録することができますが、実際のビジネスシーンはそんなに都合の良い話ばかりではありません。営業に行ってみたら、お客さまから『それはこの前、買ったばかりだから次は5年後です』と言われるようなこともあります」
「しかし、それは5年後には買い替えてくれる可能性があるということです。こういった見込み案件をどれだけ持っているかは、日々の売り上げ・受注に大きく影響するので、たとえ今は売れなくても、そのお客さまとの関係をどう維持していくかがとても大事になってきます。これは営業担当者個人の対応に依存するところが大きく、属人的になりがちです」
――それでは、お客さまとの関係が広がりませんね
「そこで、SKYPCEでは営業支援のためのさまざまな機能を提供しています。SKYPCEではメールやメルマガを一斉送信できる『One To Oneメール送信』という機能をご提供しており、営業以外の販売促進部門や他の部門からもメルマガを送ることができます。メルマガで自分たちに関心を持ってもらうことができれば、今案件がないお客さまでも何年か先に見込まれる商談の機会まで関係をつないでおくことができますよね」
――ただ、他部門の人は面識がないので、お客さまに読んでもらえないかもしれないのでは
「メルマガとして一斉送信したときに、差出人を『名刺を交換したAさん』の名前にすることができます。受け取る側としては会社からではなく、『名刺交換をしたAさんからメールが届いた』という印象になり、存在を覚えていただくきっかけにもなります」
お客さま情報の引き継ぎを円滑に
――SKYPCEが「バージョン2」へのアップデートに伴って追加した営業支援機能「活動記録」とは
「いつ、お客さまを訪問し、どんな話をしたか、という情報を記載するものです。具体的な案件であれば、SFAなどで進捗(しんちょく)管理をすることができますが、案件化するのが数年先になるような見込み案件の場合、その期間のお客さまとの関係づくりを記録する仕組みというものがありませんでした。SKYPCEの『活動記録』は名刺にひもづいているので、案件になっていないお客さまとのやりとりも全て記録しておくことができます」
――人事異動などがあっても案件を引き継ぎやすくなりますね
「大企業の場合、2~3年ごとの人事異動で担当が変わり、追いかけたいお客さまがいても引き継ぎが難しく、関係が途切れてしまうということもあるでしょう。また、引き継ぎ前の進捗状況を確認しようとしても、会社全体のビジネス情報進捗管理システムは企業単位あるいは案件単位でまとめていることがほとんどなので、詳細がわからないということが多いのです。そんな時、『活動記録』を見れば、追いかけたいお客さまがいつ誰と何を話していたかという履歴がわかるので、後任者がそのお客さまと名刺交換をするだけで、スムーズに引き継ぎを行うことができるようになります」
「さらに、この『活動記録』は会社の中で共有することができるので、見込み案件の関係づくりを、担当がきちんとメンテナンスできているかどうか、組織全体として把握することができるようになります。このような見込み案件を含めたビジネス進捗情報を管理できるシステムというのは、実は今まであまりなかったのです。私たちはこのSKYPCE独自の『活動記録』機能で、〝商談になる前の関係づくり〟という新しい価値を提供したいと思っています」
――アップデートでSKYPCEの営業支援機能がさらに広がるということですね
「営業の方の一番の困りごとといえば、お客さまを定期的に訪問する際に『話すネタがない』ということ。ましてや商談の話もなく、関係性をつないでいる期間の場合、どんな話をするかはとても重要です。SKYPCEでは現在『活動記録』に、お客さまの会社に関わるニュース情報の配信機能の追加を進めています」
「SKYPCEに登録された企業名とWEB上のニュースの中に登場する企業名を一致させ、そのニュースを表示できる機能です。訪問前にお客さまの名刺データを見れば、その会社に関する最新のニュース、例えば、新製品に関するニュースリリースなどを読むことができるので、お客さまとの話題づくりに活用いただければと思っています」
――営業担当者が名刺を見ながら、お客さまの情報を登録するのは大変です
「初めてのお客さまの場合、営業活動の進捗管理などの情報をSFAやCRM(顧客関係管理)ツールにマスター登録しなければなりません。営業担当者が名刺を見ながら入力するのは、とても手間のかかる作業です。そこでSKYPCEでは、SFAやCRMとの連携機能も準備しています。これが実装されると、SKYPCEに取り込んだ名刺データを利用中のSFAやCRMに送ることができて、マスター登録の際に手打ちで入力するような手間を省くことができます」
――手打ち入力を不要にすればヒューマンエラーを回避することもできますね
「私たちはスキャンした名刺データを、OCRだけではなく、人工知能(AI)や機械学習、最後は人間の目によってチェックしています。これによってメールアドレスや電話番号、住所や部門・役職名に至るまで、全て間違いのないデジタルデータとして登録されるため、SFAやCRMと連携した際にもそのままマスターデータとしてご利用いただくことができるというわけです」
「今回ご説明したOne to Oneメール、活動記録などの既存機能に加えて、今後提供を予定しているニュース配信やSFA / CRMとの連携機能は、すべてオプションではなく標準機能として提供していきます。こういった新機能を続々追加していく予定なので、SKYPCEを活用して名刺のDXと営業支援の拡大をぜひ、ご検討いただければと思っています」
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提供:Sky株式会社