建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み肺がんや中皮腫を患ったとして、元労働者や遺族ら計43人が、建材メーカー16社に損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、京都地裁であり、松山昇平裁判長はメーカー側に賠償を命じた。
建設アスベストを巡る京都訴訟の第2陣。国にも賠償を求めていたが、元労働者1人につき965万~1430万円、計約3億9300万円の支払いを受けることで先に和解していた。メーカー側は「喫煙の影響もあった」などと主張して、賠償額を争っていた。
原告側弁護団によると、原告43人のうち存命の元労働者は70~81歳の4人。平成29年1月に最初の原告が提訴した。最終的な請求額は、国とメーカーへの合計で約11億1800万円だった。
京都第1陣訴訟は令和3年5月の最高裁判決で終結し、国とメーカー側の賠償責任が確定している。
建設アスベスト(石綿)訴訟 建設現場でアスベストを吸い込み健康被害を受けた元労働者と遺族らが、国や建材メーカーに損害賠償を求める全国的な訴訟。平成20年以降、各地で提訴され、昨年6月時点で原告数は計1500人を超えた。最高裁は令和3年、国の賠償責任を認める統一判断を示した。これを受け国は給付金制度を創設して支払いも始めた。一方、建材メーカーとは個別の審理が必要とされ、各地で訴訟が続く。