国際学術論文ジャーナル「Journal of Digital Life」のオンラインカンファレンスが16日に開かれ、生体データの活用を目指すリトルソフトウェア社がプレゼンテーションを行った。
同社は2014年に設立。脳波計やウェアラブル端末のセンサーから取得した脳波、呼吸、心拍といったデータを「HuMAN Affective Computing(HAC)」というシステムで分析し、感情のデータを割り出せるのが強みだ。このシステムを企業などが利用して、新しいサービスや製品を開発することも視野に入れている。
創業者で代表取締役の川原達夫氏は「シーンの違いなどによって意味合いが変わることもあるが、『疲労』『興味』『平常心』など67種類の感情を求めることができる」と話した。イライラした気分になった人に対して、気持ちをリラックスさせる香りや音楽を提供するようなサービスも開発できるという。
HACは取得したデータをより詳しく把握できる点でも優れている。川原氏は、AとBの2種類の香りに対して被験者たちの感情がどのように変化したかを調べる実験を例に取り、被験者一人一人に性別、年齢、職業などの属性を「TAG情報」として付与してデータを管理することで、有効性の判定が容易になると述べた。被験者を属性を絞り込んで分析すれば、Aの香りを嗅いだ女性は気分が明るくなった、というような結果を発見しやすくなるというわけだ。
また、測定中に有効性を示したデータを切り出す作業には手間がかかってしまいがちだが、HACは指定した範囲の時間帯のデータを簡単に取得できるツールを備えているという。
同社は簡易的な脳波計などのハードウェアや、生体データを計測できるスマートフォン・タブレット端末向けアプリケーションの開発も手掛ける。HACを使ったアプリを開発したいという企業や研究者には、SDK(ソフトウェア開発キット)やAPI(異なるシステムをつなげる仕組み)を共有するという。川原氏は「HuMAN Affective Computingをどんどん使ってもらうことで、感情のデータをさらに有効活用できるようになるだろう」と期待を込めた。