【ニューヨーク=平田雄介】トランプ前米大統領が不倫発覚を防ぐため違法行為に関与したとされる疑惑で、トランプ氏が自ら予告した21日の逮捕はなく、22日も捜査に進展はみられなかった。大統領経験者が刑事訴追されれば史上初の事件となり、トランプ氏が復活を目指す2024年大統領選の行方に影響するが、捜査のハードルも高いとみられている。
捜査しているのは米東部ニューヨーク州マンハッタン地区検察。一般市民で構成される大陪審に証拠を示し、起訴の判断を求めることになる。しかし22日に予定されていた大陪審の審理は突然延期になった。理由は明らかにされていない。
疑惑について、米メディアは、トランプ氏は16年大統領選の投票日の直前、トランプ氏と不倫関係を持ったと主張するポルノ女優に対し、フィクサーの男性に口止め料の支払いを肩代わりさせたと伝えている。
トランプ氏は一族で運営する不動産会社を通じ、男性に口止め料を返済した。この際の会計処理を「訴訟費用」としたことが、ニューヨーク州法の虚偽事業記録作成にあたるという。
検察はさらに、男性による口止め料の支払いをトランプ氏への不適切な選挙資金の提供とみなし、トランプ氏が違法な会計処理を通じて選挙資金の出所を隠蔽(いんぺい)したと主張する可能性があると報じられている。
ただ、大統領選の選挙資金違反には米連邦法が適用される。この場合、検察は州法と連邦法を組み合わせた異例の主張を展開することになり、有罪立証のハードルは高いとされている。