米国の政治と社会には、何本もの断層が走っている。なかでも太く深い1本が、2021年1月に起きたトランプ前大統領(共和党)の支持者による連邦議会襲撃事件への評価だ。保守系のFOXテレビはこのところ、トランプ氏やその支持者の主張に沿う形で事件の矮小(わいしょう)化を図る報道を行い、民主党のみならず共和党の一部からも批判が噴出。トランプ氏が君臨する共和党と、一部メディアの異様な関係性が改めて注目されている。
映像を独占提供
ことの発端は、共和党のマッカーシー下院議長が2月下旬、FOXの看板キャスターであるタッカー・カールソン氏に対し、襲撃事件の際に議会内や周辺で記録された4万4千時間超に及ぶ監視カメラ映像を独占的に提供したことだった。