【パリ=三井美奈】岸田文雄首相の21日のウクライナ訪問は、中国の習近平国家主席のロシア訪問と重なったため、欧州ではアジア2首脳の「外交対決」に注目が集まった。
フランス経済紙レゼコーは、岸田氏が「ウクライナは明日の東アジア」だと述べ、中国の武力威嚇を牽制(けんせい)してきたことを紹介し、習氏のロシア訪問にあわせたウクライナ入りで「メッセージを再確認した」と評価した。岸田氏は先進7カ国(G7)議長国の首脳として、「核兵器と戦う世界平和の懸命な活動家」であることを示そうとしたとも記した。
英BBC放送は「日中首脳が、ウクライナ戦争で対立する首都を訪問」したと伝えた。日本がウクライナ侵攻に大きな懸念を抱くのは、中国による台湾侵攻という最悪のシナリオと重なるからだと指摘し、日中の緊張関係に触れた。
ドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネは、日本は米欧と対ロシア制裁で歩調を合わせながら、極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン1」「サハリン2」で権益を維持していると報じた。岸田氏は「ウクライナを支援しながら露産ガスに依存し、バランスを探っている」と紹介した。