チームワークで最高の結末を引き寄せた。スーパースター軍団の米国を相手に、最後まで日本らしく戦った。
二回の村上の同点ソロがターニングポイントだった。直前に先制を許し、沈みかけたベンチの雰囲気を一瞬で奮い立たせた。真ん中低めの甘い球ではあったが、状態が上がり切っていないときならファウルになっていただろう。準決勝でサヨナラ打を放ち、スイングから迷いが消えていた。 日本のリリーフ陣にとっては、2-1の四回に岡本のソロで2点差としたことも大きかった。米国は全員が一発のある強力打線。「最悪、ホームランを打たれてもまだ1点差」と割り切れるかどうかで、投手にかかる重圧は全く違う。米大リーグ組と比べてデータの少ない日本の長距離砲たちが、大一番で役目を果たしてくれた。
投手陣も総力戦だった。走者を出しながらも、要所を押さえて踏ん張った。宇田川(オリックス)ら救援の専門家がブルペンで準備をしていたからこそ、9イニングをつないだ7投手は思い切って腕を振れたと思う。改めて、日本の投手力を世界に示す形になった。
大会は想像以上の盛り上がりを見せた。規模はサッカーのワールドカップ(W杯)に及ばないが、この優勝で間違いなく多くの子供たちの目が野球に向くはず。日本の選手たちには今シーズンも野球熱を引っ張る活躍を期待したい。(プロ野球解説者)