中露首脳、連携強化で共同声明 欧米に対抗、ウクライナ支援停止要求

ロシアを訪問中の中国の習近平国家主席とプーチン露大統領は21日、モスクワで2日目の首脳会談を行い、中露の連携強化を改めて確認するとともに、ロシアが侵略を続けるウクライナ情勢を協議した。会談終了後、両首脳は共同声明に署名。中露が米欧諸国に対し共同対処していく方針を強調したほか、ウクライナ情勢に関しても米欧は軍事支援を停止すべきだと訴えるなど、ロシア側の主張に沿った内容となった。

ウクライナ和平の仲介に意欲を示す中国の中立性に疑問を呈してきた米欧諸国の懸念が的中した形。和平の実現に向けた具体策も示されず、戦闘のさらなる長期化は避けられない。

共同記者発表でプーチン氏は、ウクライナ情勢に関して中国が先月発表した「和平案」の内容はロシアの方針とほぼ一致しており、将来的な和平の基礎になると評価した上で「米欧とウクライナには平和的解決の準備が整っていない」と主張。米欧の軍事支援を非難し、「米欧はウクライナ人が最後の一人になるまで戦うと決めたようだ。ロシアはそれに応じて対応する」とし、軍事作戦を継続する意思を示した。

プーチン氏はまた、「中露関係は史上最高水準だ」と誇示。モンゴル経由でロシアの天然ガスを中国に輸出するパイプライン「シベリアの力2」の建設を進める意思を示したほか、中国への食料輸出も増加させるとし、対露制裁の影響を中国との貿易拡大で緩和させる思惑を鮮明にした。

一方、習氏は「中露の協力は、善隣と友好、相互連携の原則に基づいてあらゆる方面で前進している」と評価。「中国は客観的で公平な立場を堅持する」と主張し、ウクライナ和平の実現に向けて関与を続ける意思を表明した。

両首脳は、中露の戦略的互恵関係の深化と2030年までの経済協力の発展に関する2つの共同声明に署名。戦略的互恵関係に関する共同文書では、ウクライナを支援する米欧を念頭に「緊張の激化と戦闘の長期化につながる措置を停止し、危機が制御不能な段階まで達するのを防ぐことを求める」と指摘した。

また、「中露は一方的な制裁に反対する」「『より優れた民主主義』などは存在せず、他国に自身の価値観を押し付けるべきではない」「ある国や国家集団は、他国の安全保障を犠牲にして自身の安全を確保してはならない」などとの記載を盛り込んだ。

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