WBCに続き飲料メーカーもRTDで〝日米対決〟 「ジャックコーク」を日本勢が迎撃

日本コカ・コーラが発売する「ジャックダニエル&コカ・コーラ」=東京都内(宇野貴文撮影)
日本コカ・コーラが発売する「ジャックダニエル&コカ・コーラ」=東京都内(宇野貴文撮影)

野球の国・地域別対抗戦、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の王座をつかんだ「侍ジャパン」。史上初の日米決勝戦を制し、栗山英樹監督と選手らは「シャンパンファイト」で勝利の美酒に酔いしれたが、飲料メーカーの〝日米対決〟にも注目が集まる。舞台は、詮を開けたら炭酸水などで割らなくてもすぐに飲めるアルコール飲料「RTD(レディー・トゥー・ドリンク)」市場だ。レモンサワー専門ブランド「檸檬堂(れもんどう)」が侍ジャパンのオフィシャルパートーナーに名を連ねるコカ・コーラグループの日本コカ・コーラは、4月から米国発祥のウイスキー「ジャックダニエル」をコカ・コーラで割ったハイボール「ジャックダニエル&コカ・コーラ」を日本市場に投入。迎え撃つ日本のビール各社も新商品を投入し、WBCと同様、日米飲料メーカーによる激しい攻防が予想される。

阿部寛さんもレモンサワー片手に侍ジャパン応援

RTDには、レモンサワーやハイボール、缶チューハイなどがあり、市場は成長を続けている。檸檬堂は日本コカ・コーラ初のRTD商品で、平成30年に発売された。丸ごとすりおろしたレモンと酒をあらかじめ馴染ませた「前割りレモン製法」による濃厚な味が特徴だ。

「檸檬堂」のCMに出演する阿部寛さん(日本コカ・コーラ提供)
「檸檬堂」のCMに出演する阿部寛さん(日本コカ・コーラ提供)

昨年10月には、オフィシャルパートナーとして侍ジャパン応援キャンペーンをスタート。仕事帰りのサラリーマンが集まる居酒屋「檸檬堂」で、俳優の阿部寛さんが演じる店主と常連がレモンサワーを片手に侍ジャパンに声援を送るという内容のCMを放映するなど大会を盛り上げてきた。

大会開催中は試合会場にロゴが飾られ、侍ジャパンの活躍を見守る観客やテレビ視聴者へのPR効果は絶大だった。

米国の強力タッグでハイボール拡大

檸檬堂に続くRTDの第2弾として4月10日に発売する「ジャックダニエル&コカ・コーラ」は米蒸留酒大手のブラウン・フォーマンと組んだ商品。米国を代表する両ブランドのロゴを描いたシンプルなパッケージデザインを採用した。

日本コカ・コーラが発売する「ジャックダニエル&コカ・コーラ」=東京都内(宇野貴文撮影)
日本コカ・コーラが発売する「ジャックダニエル&コカ・コーラ」=東京都内(宇野貴文撮影)

ジャックダニエルとコカ・コーラをミックスしたバーカクテルは「ジャックコーク」の愛称で世界中で親しまれているが、コカ・コーラを使ったアルコール飲料は初めてで、昨年11月にメキシコで販売を開始。今年から日本のほか米国や欧州などで販売し、市場は拡大している。

日本で発売する商品は350ミリリットルで、アルコール度数は米国と同じく7%。希望小売価格は税別210円だ。

日本コカ・コーラによると、日本国内のRTD市場は平成30年からの5年間で年平均で6・2%成長。ハイボールの年平均成長率は7・4%で市場全体を上回る。

関口朋哉アルコールカテゴリー事業本部長は「高品質なRTDが求められている。ハイボールカテゴリーの拡大に向けて努力していきたい」と意気込む。

アサヒビールは売上高1・5倍以上へ

日本勢も手をこまぬいていない。

アサヒビールは令和7年までに自社のRTD売上高を4年比1・5倍以上の600億円に高める目標を掲げる。

今月22日には、東北エリアで特製ジンをベースにした無糖柑橘(かんきつ)サワー「GINON(ジノン)」を発売した。希望小売価格は350ミリリットルが税別153円、500ミリリットルが同208円。

アサヒビールの「GINON(ジノン)」(同社提供)
アサヒビールの「GINON(ジノン)」(同社提供)

九州、中国・四国、東海・北陸の各エリアでも地域限定の新ブランドを順次発売し、売れ行きや購入者の評価をみて全国展開へつなげる戦略だ。

サッポロビールが22日に発売した「ニッポンのシン・レモンサワー」は、グループのポッカサッポロフード&ビバレッジが開発したレモン果汁を使用。参考小売価格は350ミリリットルが税別153円、500ミリリットルが同208円だ。

キリンビールも、きめ細かい泡立ちで口当たりを柔らかく仕上げたレモンサワーの新ブランド「麒麟百年 極み檸檬サワー」を4月4日に発売する。参考小売価格は350ミリリットルが税別162円、500ミリリットルが同222円。

侍ジャパンの快挙で日本列島では祝杯をあげる人が続出するのは間違いない。今月末にはプロ野球のセ・パ両リーグが開幕。RTD市場の競争激化で、試合観戦中にどの商品を飲むかを選ぶ楽しみも増えそうだ。(宇野貴文)

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