はやぶさ2 「生命の設計図」の材料発見 試料から核酸塩基 北大など

小惑星リュウグウの表層の試料(左)と地下の試料(JAXA提供)
小惑星リュウグウの表層の試料(左)と地下の試料(JAXA提供)

探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰った砂状の試料から、生物の遺伝情報を伝える核酸の成分である塩基を発見したと、北海道大などの研究チームが22日、英専門誌の電子版で発表した。「生命の設計図」の材料となる核酸塩基が小惑星から見つかったことで、地球生命の源は宇宙から飛来したとする仮説がさらに補強された。

チームはリュウグウの表層と地下から採取した計約10ミリグラムの試料を分析。その結果、核酸のRNAを構成するウラシルという塩基を、試料1グラム当たり最大32ナノグラム(ナノは10億分の1)の濃度で検出した。地下の濃度は表層の2~1・5倍と高かった。表層では宇宙線などによる分解が進んだためとみられる。

核酸は二重らせんのDNAと1本鎖のRNAがあり、塩基の並び順が遺伝情報を表す。塩基はDNAがアデニン、チミン、グアニン、シトシンの4種類で、RNAはチミンの代わりにウラシルを含んでいる。

現在の地球は、生命の遺伝情報の継承をDNAが担う「DNAワールド」だ。だが、40億年前はRNAが生命の設計図の役割を担う「RNAワールド」だったという仮説がある。宇宙で最も始原的な物質と判明しているリュウグウの試料からウラシルが検出されたことは、不自然ではない。

北海道大の大場康弘准教授は「地球生命の宇宙飛来説を補強する成果だ。分析方法を変えれば、残り4種類の塩基も検出できる可能性がある」と話す。塩基は地球に落下した隕石(いんせき)からは既に見つかっている。

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