下水処理水の藻で育てたアユ「つるおかBISTRO鮎」に 山形・鶴岡、6月にも販売へ

下水道処理水で育てた藻で生育したアユ。天然に近い香りと風位があるという(山形県鶴岡市提供)
下水道処理水で育てた藻で生育したアユ。天然に近い香りと風位があるという(山形県鶴岡市提供)

山形県鶴岡市は、下水道処理水で育てた藻を用いて養殖したアユについて食品としての安全性が確認できたことから、6月にも販売する。天然に近い香りと風味があるといい、「つるおかBISTRO(ビストロ)鮎」と命名した。

天然物と養殖物とでは味わいに違いのあるアユ。アユは雑食性ながら川の石についた藻を食べて育つ天然物に対して、養殖物は魚のミンチなど動物性の人工エサで育てるため、どうしても香りが劣り、評価が分かれてしまう。

鶴岡市では窒素、リンなどを含む栄養豊富な下水道処理水を「都市資源」と捉え、アユのエサである藻を育てた。令和元年からは山形大学、JA鶴岡、漁協関係者、民間企業などと協力してアユに与える研究を進めてきた。

市に養殖の専門家はいないものの、漁協関係者の指導を受けながら養殖を開始。市浄化センターに集まる下水道処理水を紫外線で消毒し、浄化センター内の養殖池でアユに与えて育てている。

市浄化センターの松浦正也主査(58)は「漁業や調理関係者にみてもらったところ、『天然に近い香りと風味のあるアユ』に育っている」との感想をもらっていえるという。

下水道処理水を藻生育に使うため衛生面を考慮し、山形大学で調べたところ、安全性や食品基準もクリアしたという。市ではこのアユを、ふるさと納税の返礼品としても検討していくという。

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