国土交通省が22日に発表した令和5年の公示地価によると、東京都内の住宅地、商業地、工業地を合わせた全用途での対前年平均変動率はプラス2・8%となり、2年連続のプラスとなった。都財務局は「マイナスからプラスに転じた前年よりも今年は上昇幅が広がった。新型コロナウイルスによる行動制限の解除などを受けた回復傾向が顕著になった」と分析している。
住宅地
全域ではプラス2・6%となり、平均価格は1平方メートル当たり45万2100円。区部はプラス3・4%、多摩地区はプラス1・6%で、島嶼(とうしょ)部はマイナス0・2%だった。
区部では台東区(プラス4・8%)、豊島区(プラス4・7%)、中野区(プラス4・6%)などで上昇が目立った。都財務局は、広く快適な住宅の需要が高まっているほか、富裕層の余裕資金が住宅需要に向かっていると見ている。
多摩地区は調布市(プラス3・6%)、府中市(プラス3・3%)のほか、立川、国分寺、狛江の3市(いずれもプラス3・1%)などで上昇した。再開発で住環境が向上した地域や、駅に近接する地域で上昇したが、高齢化が進む地域などでは需要の減退が続いたという。
商業地
全域ではプラス3・3%で、平均価格は1平方メートル当たり261万3500円。区部はプラス3・6%、多摩地区はプラス2・1%で、島嶼部はマイナス0・5%だった。
区部は前年(プラス0・7%)から上昇幅が拡大。3区がマイナスからプラスに転じ、全23区がプラスとなった。上昇率が最も高かったのは中野、北、荒川の3区(いずれもプラス5・2%)。訪日外国人観光客(インバウンド)の回復や期待感から浅草(台東区)などの観光地の上昇も目立った。
多摩地区は前年マイナスだった7市がプラスに転じ、全26市1町でプラスとなった。上昇率が高かったのは調布市(プラス4・1%)、狛江市(プラス3・9%)、武蔵野市(プラス3・4%)の順。
地価公示 地方住宅地28年ぶり上昇 全国平均プラス1・6% コロナ前に「回復顕著」