5月14日まで兵庫県立美術館(神戸市中央区)で開催されている特別展「恐竜図鑑」(産経新聞社など主催)の主な作品を5回にわたって紹介します。最終回は小田隆「篠山層群産動植物の生態環境復元図」です。
美術解剖学の研鑽重ね
復元画は研究者とアーティストの共同作業によって生まれる。「篠山層群産動植物の生態環境復元画」のメインビジュアルは、タンバティタニス・アミキティアエ(丹波竜)である。
これは2006(平成18)年の最初の発見から3次にわたる発掘調査を行い、多くの部位が発掘された希少な竜脚類の化石をもとに、12(同24)年から足かけ3年にわたって行われたプロジェクトの成果といえる力作である。
この復元画は、兵庫県立人と自然の博物館の主任研究員だった三枝春生さん(故人)と京都精華大学教授でもある画家、小田隆とが綿密なやりとりを重ね、頭蓋骨の復元から、全身骨格、生態復元、生態環境復元と順を追って制作された労作。
作家の表現のベースには、人間や動物の内部構造を知ることで、より正確な表現を目指す美術解剖学への不断の研鑽(けんさん)がある。それが、誰も見たことのない古脊椎動物のリアリティー豊かな復元に寄与しているのである。=おわり