国際学術論文ジャーナル「Journal of Digital Life」のオンラインカンファレンスが16日に開かれ、情報通信技術(IT)サービス企業のBIPROGY(ビプロジー)がプレゼンテーションを行った。
日本ユニシスを前身とする同社は、先進的なITを活用したサービスを手掛けているが、グループ内で研究開発を担当するBIPROGY総合技術研究所の取り組みはITだけにとどまらない。研究開発分野は、生体データを医療などに役立てる「For Human」、社会課題の解決を狙いとした「For Society」、安全にサイバー空間を活用して産業の発展を目指す「For Industry」、他の研究領域を支える次世代技術「Next Technology」など広範にわたる。さらに、京都情報大学院大学や大阪大学との産学連携も進めている。
その中でも、BIPROGY総合技術研究所の高橋英治氏が「弊社では新しい取り組み」として紹介した分野が「For Human」だ。身体的、精神的、社会的に良好な状態であるウェルビーイングを高めることに主眼を置き、健康や自己の可能性拡大に役立つ技術を作り上げることを目指してさまざまな研究を行っているという。
その例として高橋氏は、視覚情報から人の読解力を紐解く研究を挙げた。要件定義書を読む人の視線の動きをアイトラッカーという装置で計測して、まばたきの回数などがレビュー(内容の精査等)の品質にかかわることを明らかにしたという。また、匂いに関する研究では、食品の香りの嗜好性には少なくとも「悪臭」「果実臭」「ロースト臭」「刺激臭」「酒臭」の5因子があることを突き止めたとしている。
こうした研究は、同社が年に4回発行する技術報告書「技報」にまとめられている。1981年2月創刊の歴史ある報告書だが、同社サイトで電子版を無料で閲覧できる。高橋氏は「希望する企業や研究機関には無償で冊子を配布している。ご興味がある方はホームページ(https://pr.biprogy.com/tec_info/)から申し込んでほしい」と呼びかけた。