【ニューヨーク=平田雄介】国連安全保障理事会は20日、北朝鮮による16日の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受けて会合を開いた。米国などが制裁強化を含む安保理決議の完全な履行を求める中、中国とロシアの代表は朝鮮半島の非核化に向けた「対話再開を目指すべきだ」と制裁緩和で足並みをそろえ、米国批判を展開した。
2017年12月の安保理決議は、北朝鮮がICBM開発に役立つ弾道ミサイルを発射した場合は対北石油輸出をさらに制限する行動をとると定めている。この決議は中露を含む全会一致で採択されており、法的拘束力もある。20日の会合で米国の代表は「中露は決議の履行を妨害し、北朝鮮のミサイル発射を助長している」と名指しで批判した。
これに対し、中露の代表は、北朝鮮の相次ぐミサイル発射の責任は「米国にある」と主張。それぞれが米韓両軍が23日までの日程で韓国周辺で実施中の合同軍事演習に言及し、露代表は「前例のない規模だ」と述べ、中国代表は「緊張を高めている」と訴えた。米代表は「軍事演習は地域の安定を目的とした純粋に防衛的なもので、北朝鮮への敵意はない」と反論した。
中露の代表はまた、米英とオーストラリアの安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」の下で進む豪州の原子力潜水艦導入計画も非難した。中国代表が「核拡散のリスクがある」と主張したのに対し、米代表は「核拡散防止条約に違反していない」と強調した。