これまで岸田文雄首相の訪問を繰り返し要請してきたウクライナのゼレンスキー政権は、岸田首相の訪問の実現を歓迎した。ウクライナは、先進7カ国(G7)議長国を務める日本が指導力を発揮し、国際的な対ロシア制裁の強化や米欧諸国による軍事・経済支援の継続を主導することを期待している。
ウクライナのジャパロワ第1外務次官は21日、ツイッターに、ウクライナに到着した岸田首相の写真とともに「連帯を表す歴史的な訪問だ」と投稿。「多大な支援とウクライナの未来への日本の貢献に感謝している」とし、日本語で「ようこそ」とも書き込んだ。
ウクライナは、岸田首相がロシアの侵略の実態を目の当たりにし、5月に広島市で予定されるG7首脳会議でウクライナ支援拡大に向けた各国への働きかけを強めることを望んでいる。
また、唯一の被爆国である日本がロシアによる「核の威嚇」を容認しない決意を示したり、アジア各国への発言力を持つ日本が、アジア太平洋諸国のロシア接近を食い止めたりすることにも期待している。
ゼレンスキー大統領は、ロシアに領土を不法占拠されているという点で日本とウクライナは同じ立場だとし、領土奪還に向けた共同歩調を日本に訴えてきた。昨年12月にオンライン形式で開かれたG7首脳会議でも、「日本と日本人が自由と国際法の規範を守るために、アジアで強いリーダーシップを発揮してきたことに感謝している」と述べるなど、日本の関与を前向きに評価してきた。
ウクライナは兵器輸出に関する「防衛装備移転三原則」を尊重するとし、日本が殺傷兵器を供与できないことに理解を示している。その分、将来の復興段階などで日本が強い役割を果たすことも望んでいるとみられる。