自動運転やインターネットとの融合による電子制御の高度化や大量のデータ処理を背景に、車のコンピューター化が進んでいる。ソニーグループが投入予定の電気自動車(EV)の〝頭脳〟の演算性能は、2000年代初めに活躍した日本製スーパーコンピューター「地球シミュレータ」の約20倍となる見通しだ。ただ、EVの急速な高性能化は、搭載技術の軍事転用という安全保障上の新たなリスクもはらんでいる。
EV市場への新規参入で注目されるソニーグループが、ホンダとの共同出資会社で25年から受注を始める新型車「AFEELA(アフィーラ)」。一定の条件下で運転が不要になる「レベル3」の自動運転機能を搭載するこの車は、45個のカメラやセンサーを車内外に導入し、高度な電子制御を担う半導体の演算性能を毎秒800兆回以上とする計画という。
大気の循環や温暖化など地球規模の気候変動などの研究に活用された地球シミュレータの計算性能は当時、世界最速の最大毎秒40兆回の浮動小数点演算。あくまで数値の単純比較だが、アフィーラの頭脳はこれを大きく上回る。