岸田文雄首相のウクライナ電撃訪問について、与野党からはおおむね好意的な評価が寄せられた。首相や閣僚の海外出張の慣例である国会の事前承認はなかったが、安全確保などの観点から例外的に容認する意見が目立ったほか、慣例の見直しを指摘する声も出た。
自民党の茂木敏充幹事長は21日、5月に広島市で開かれる先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)でウクライナ情勢や同国への支援が大きなテーマになると指摘した上で「首相がキーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談して直接現地情勢を確認することは大きな意義がある」とコメントした。
自民の小野寺五典元防衛相は21日、ツイッターで「大変有意義だ。しかも中国の習近平国家主席が訪露、プーチン大統領との会談直後のタイミングで重要だ」と評価した。
公明党の山口那津男代表は「大変意義がある」とした上で、国会の事前承認に関しては「G7議長国という重要な立場だ。国際社会の秩序が壊されようとしている危機的な状況のもとで、与野党大多数の方々には、慣例の例外として認めてもらえると思う」とコメントした。
立憲民主党の泉健太代表は千葉県市川市内で記者団に「G7で今後の国際秩序、安定と平和を目指す議論の土台ができた。必要性は高いと理解している」と評価した。その上で、「戦争が行われている国への訪問だから、情報を一定、秘匿して対応せざるを得ないことは理解している」と指摘。国会の事前承認なしでの訪問に理解を示すとともに、帰国後は速やかに衆参両院の本会議で帰朝報告を行うべきだとの考えを示した。
国民民主党の玉木雄一郎代表は松山市内で記者団に「高く評価している。機微に富む外交案件については国会のルールも見直す必要がある」と述べた。
安全確保、国会の承認…ハードルも実行 首相のウクライナ電撃訪問