主張

危機回避へ各国は結束を

スイス金融大手のUBSとクレディ・スイスのロゴ=19日、スイス・チューリヒ(ロイター=共同)
スイス金融大手のUBSとクレディ・スイスのロゴ=19日、スイス・チューリヒ(ロイター=共同)

米欧で相次ぐ金融機関の破綻や経営不振により金融市場の動揺が広がる中、スイスの金融大手UBSが19日、危機に陥った同国の金融大手クレディ・スイスを買収し、合併すると発表した。

金融不安が世界に拡大するのを阻むため、同国の政府・中央銀行の後押しを受けてスピード決着した事実上の救済買収である。

同日には、米連邦準備制度理事会(FRB)や日銀など6中央銀行が市場へのドル資金の供給を拡充することも発表された。金融機関がドルの調達に支障を来さないよう協調して対処する狙いだ。

10日の米シリコンバレー銀行破綻後に広がった市場の動揺を沈静化できなければ、金融システムや世界経済は甚大な被害を受けかねない。日本にとっても最大限の警戒が必要な局面である。

リーマン・ショック時のような金融危機を招いてはならない。危機の芽を摘むため、各国が結束してあらゆる手段を講じるべきは当然で、万全の対応を求めたい。

スイスの名門同士による大型再編に対し、同国の政府や中銀はリスクを軽減する支援策も併せて打ち出した。週明けの市場再開前の決着で市場の動揺を鎮めることに重きを置いたようである。

他方で米連邦預金保険公社(FDIC)も19日、12日に破綻した米シグネチャー銀行の資産を、ニューヨークに拠点を置く金融持ち株会社傘下の銀行が買収することで合意したと発表した。

対応が急がれるのは、交流サイト(SNS)での拡散などで、かつてないほど速く市場の動揺が広がったためだが、見過ごせないのは金融環境の変化だ。インフレを背景に日本を除く各国は金融を引き締めている。その結果、資金繰りが悪化した企業などに預金を引き出す動きがあるほか、金利上昇に伴う債券価格の下落で金融機関の債券運用にも損失が出ている。シリコンバレー銀は典型だ。

各国中銀には、インフレ抑制の観点だけでなく金融システム不安の拡大にも細心の目配りを求めたい。21、22日に利上げについて協議するFRBは特に、双方のリスクを厳しく吟味すべきだ。

米欧の問題が日本に及ぼす影響は限定的とされるが、地域金融機関には利回りの高い外債の保有を増やしたところもある。総裁交代を4月に控える日銀は予断を持たず金融不安に備えてほしい。

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