中露首脳が会談 ウクライナ「和平案」を協議

20日、握手を交わす中国の習近平国家主席(左)とロシアのプーチン大統領=モスクワ(タス=共同)
20日、握手を交わす中国の習近平国家主席(左)とロシアのプーチン大統領=モスクワ(タス=共同)

【北京=三塚聖平】中国の習近平国家主席は20日、モスクワに到着し、22日までの日程でロシア訪問を始めた。プーチン露大統領との会談ではウクライナ問題が焦点となる。中国は、ロシアとウクライナの双方に停戦を呼びかけており、「仲介外交」によって国際社会での存在感を高めたい考えだ。習氏の訪露は昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻後で初めて。

20日の会談冒頭でプーチン氏は、ウクライナ情勢について中国が発表した和平案を「ロシアは注意深く読んでいる」と発言。習氏は「中国はロシアとの関係を高く評価している」と応じた。20日には晩餐会などが行われ、本格的な首脳会談は21日に予定されている。

中国は2月、ウクライナ戦争での和平を呼びかける12項目の文書を発表。習氏は訪露に先立って露国営メディアに寄稿し、ウクライナ問題で「建設的役割を果たす」と表明した。

中国は地域・国際問題で仲介役を担う戦略を強めている。今月には、中国の仲介でイランとサウジアラビアが外交関係の正常化に合意した。習政権は中国主導の国際秩序形成に意欲を見せており、中東などで米国の存在感が低下しているのに乗じて影響力拡大を図る思惑だ。米メディアによると、習氏はプーチン氏との会談後、ウクライナのゼレンスキー大統領とのオンライン会談を計画している。

ただ、中国の和平案は侵略に踏み切ったロシアを非難せず、欧米諸国は中国を中立的な仲介者とみなしていない。国際刑事裁判所(ICC)がプーチン氏に戦争犯罪容疑で逮捕状を出した直後の首脳会談には、欧米から厳しい目が向けられそうだ。ICCの逮捕状について、中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は20日の記者会見で「ICCは客観的で公正な立場を堅持すべきだ」と述べた。

中国は一方、米国の同盟国である日本がインドなどと連携を強化しようとしていることを警戒している。岸田文雄首相のインド訪問について、汪氏は17日の会見で「一部の国は『自由で開かれたインド太平洋』と声高に唱えてきたが、実際は陣営対立のための小派閥を作っている」と批判した。

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