「33回転が45回転になったように忙しい」と、40歳代の同僚に冗談を飛ばしたら、きょとんとした顔をされた。古くて通じないギャグかと思いきや、アナログレコードの人気が若者の間で高まっているという。米国では35年ぶりに販売枚数でCDを上回ったと、最近報じられた
▶ジャケットの芸術性、円盤や針の動き、手元に置ける所有感などが人気の理由らしい。音楽の楽しみは楽曲そのものだけではない、ということだろう。日本では昭和26年、初めてLPレコードが発売された。昭和を代表する音楽メディアの復権は、さまざまな気づきを与える
▶新聞も情報だけの商品だろうか。新聞紙の質感や機能はレコードに似ている。手に取って腰を下ろし、眺めることそのものに価値がある、とは考えられないだろうか。「サブスク」とレコードのように、電子メディアと紙の共存を夢見る。時代は45回転を促してくる。33回転の時間も、取っておきたい。