東京高検が最高裁への特別抗告を断念したことで、昭和43年に袴田巌さんに死刑判決を下した静岡地裁で、再審公判が開かれることになった。検察側・弁護側の双方が改めて主張をし、新たに判決が言い渡されるが、無罪となる可能性が極めて高い。
公開の法廷で行われる再審公判では、検察側が改めて有罪を主張し、死刑を求刑することもできる。しかし、再審自体が確定判決の有罪認定に「合理的な疑いが生じる明白な新証拠」が見つかった場合に認められるもののため、検察官が有罪主張を放棄することも珍しくない。
地裁が出した再審公判の判決に不服がある場合、検察側は通常の刑事裁判と同じく控訴・上告することが可能だ。ただ、死刑確定後の再審公判で無罪判決が言い渡されたケースは過去に4件=免田事件、財田川(さいたがわ)事件、松山事件、島田事件=あるが、いずれも検察側が控訴することなく無罪判決が確定している。