5月14日まで兵庫県立美術館(神戸市中央区)で開催されている特別展「恐竜図鑑」(産経新聞社など主催)の主な作品を5回にわたって紹介します。第3回目はチャールズ・R・ナイト「白亜紀-モンタナ」です。
パレオアートの象徴
20世紀初頭、パレオアート(古生物美術)の人気を大きく高める人物が登場した。米国のチャールズ・R・ナイト(1874~1953年)である。
ナイトは野生動物画家だった。彼の残した野生動物の絵は千枚にも及ぶ。その観察眼と解剖学的な研究の成果は、恐竜をはじめ、絶滅した生物をいきいきと描き出すのに格好の武器となった。リアリズムを欠いていた19世紀のパレオアートに、それまで磨いてきた彼の技術が大きな刺激を与えたのである。
ナイトの復元画は米国の主要な自然史博物館に提供され、本や雑誌にも取り上げられたことで、他のパレオアーティストたちのほか、映画「ジュラシック・パーク」など後世の映像文化にまで影響を及ぼし続けた。
なかでも、米プリンストン大学が所蔵する、この暴君竜、ティラノサウルスと角竜、トリケラトプスがにらみあう構図の絵画は、パレオアートを象徴する作品となった。