新型コロナウイルス禍で活動が制限される西日本のご当地アイドルに活路を見いだしてもらおうと、雑誌「IDOLOOKIN(アイドルッキン)」が新たに創刊された。長年ご当地アイドルの関連事業に携わってきた男性が危機感を募らせて編集長に就任。今年4月には同誌がプロデュースするアイドルグループも活動を始める予定で、新たなアイドルシーンが生まれそうだ。
「ステージとは違う姿を」
関西を中心に西日本のご当地アイドルを紹介する同誌は昨年9月に創刊された。大阪市浪速区のライブハウス「日本橋(にっぽんばし)ポルックスシアター」を運営する「910エンターテイメント」が隔月で発行。編集長を務めるのは、過去にローカルアイドルマガジンを手がけるなど、ご当地アイドル業界に詳しい向浜(むこはま)明彦さん(48)だ。
今年3月22日に発売される最新刊の表紙を飾るのは、関西を拠点にする7人組グループ「カラフルスクリーム」。平成29年結成で、「あなたのココロに彩りを!」をコンセプトに、完成度の高い楽曲とパフォーマンスで注目を集めている。
7都市をめぐる全国ツアー「COLORFUL SPRING TOUR2023~全国彩り計画~」を行っており、6月には大阪音楽堂(大阪市中央区)で行われるファイナル公演に向けて精力的なライブを続けている。
表紙の撮影は昨年11月、大阪市北区の古着店で実施。メンバーらは昭和レトロをテーマにした衣装で臨み、表紙だけでなく巻頭特集にも掲載予定だ。雑誌の表紙を飾るのは初めてで、「出来上がりがとても楽しみ」「ステージとは違う私たちも楽しんでほしい」と呼び掛ける。
メンバーらの私服姿も
過去には、大阪市が拠点の「サクヤコノハナ」「The Patti」、広島市拠点の「プランクスターズ」が表紙を飾っている。誌面では「天空音パレード」「インフローレ女学院」「da-gashi☆(ダガシ)」(いずれも大阪)、「KRD8」「WT☆Egret(ホワイトイーグレット)」(いずれも兵庫県姫路市)、「Purpure☆N.E.O」(京都)など関西拠点のグループだけでなく、「あすとろLAVENDER」(岡山)、「広島8区ガールズ」「きつねでこんコン!」(広島)、「たとえばカワウソ34」(高知県)など中四国のグループも写真付きで紹介してきた。
アイドルたちがカフェを訪れて撮影する企画やライブ写真、メンバーらの私服なども掲載されている。
「運営のマインドを変えなければ」
向浜さんは、昨年5月に広島市内のライブハウスで行われたアイドルイベントを訪れた際、「数年ぶりに現場を見たが、雰囲気が変わって全体的なレベルが落ちていることに危機感を抱いた」と振り返る。
実際に、全国のアイドルたちはコロナ禍の影響で、主軸となるライブができなくなる事態に陥った。カラフルスクリームも令和2年には約3カ月間にわたって自粛し、同年6月に活動を再開したが、無観客ライブとなった。
「アイドルたちにとってライブは生命線なのに、コロナ禍で状況が一変した。雑誌という媒体を通じてライブ以外の活動の場を提供し、アイドルたちのモチベーションアップにつながれば」と向浜さんは期待を寄せる。
こうした中、同誌がプロデュースする5人組「ROOM0205(ルームニーマルゴ)」が、今年4月から活動を始める。向浜さんによると、日本橋ポルックスシアターで月1回ペースの定期公演を行うほか、関西を中心にライブ活動を展開する方針だ。
メンバーらは本格デビューに向けてレッスンを重ねているが、「雑誌媒体がバックアップするなどさまざまなご縁に恵まれた」「私たちはいいパフォーマンスをするだけです」「楽しみが大きい」と口々に意気込みを語っていた。
向浜さんは「新型コロナの影響を受けたままでは、限られたパイを奪い合うだけ。グループ間の連携を強めて新規開拓を進めるためには、グループを運営するマインドを変えていく必要もある」と指摘している。
同誌は各号1650円(税込み)。(格清政典)