探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰った砂状の試料について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日、初期的な分析が完了し、地球生命の起源や太陽系の成り立ちの解明につながる一通りの論文が出そろったと発表した。計画全体を指揮したJAXAの津田雄一チーム長は記者会見で「科学、技術、探査の全てで計画を超える成功を収めた。心の底から誇りに思う」と胸を張った。
分析チームは、著名な英ネイチャーや米サイエンスなどを含む学術誌に300本近い論文を発表し、試料から生物の体の構築に必要な有機物やアミノ酸、大量の水を検出したことなどを報告。地球の生命の源は、リュウグウのような小惑星の一部が隕石(いんせき)などとなって飛来したことでもたらされたとする仮説を補強した。
また、試料は宇宙の中で最も始原的な物質であることも判明。太陽系の成り立ちや地球の形成過程を探る上で新たな基準物質となる可能性が大きく高まった。
ただ、地球に生命の源をもたらしたのは彗星(すいせい)だとする説もある。はやぶさ2の科学部門統括の渡辺誠一郎名古屋大教授は「培った技術で彗星から試料を持ち帰り、リュウグウの試料と比較してみたい」と話した。