令和元年に大阪府吹田市で発生した交番襲撃事件で強盗殺人未遂などの罪に問われ、1審大阪地裁で懲役12年の判決を受けた無職の男性被告(36)の控訴審判決公判が20日、大阪高裁で開かれ、斎藤正人裁判長は1審判決を破棄し、無罪を言い渡した。刑事責任能力を否定したとみられる。
控訴審で弁護側は、1審判決が採用した「限定的に責任能力はあった」とする被告の精神鑑定書について「誤診している」と主張。別の精神科医の意見書を提出し、被告の犯行当時の精神状態は刑事責任を問えない心神喪失か、鑑定書の診断よりも深刻な心神耗弱だったと訴えていた。
令和3年8月の1審判決は、「拳銃強奪の動機や目的などは病気の影響なしに説明できない点がある」と指摘した一方、虚偽の110番や逃走中の衣類投棄などの行動から、臨機応変さや判断能力は有していたと認め、「善悪を判断する能力がまったく欠けていたとはいえない」としていた。