圧巻のタイトル奪取だった。19日、栃木県日光市で指された将棋の第48期棋王戦五番勝負第4局。2勝1敗で迎えた挑戦者の藤井聡太五冠(20)=棋聖・竜王・王位・叡王・王将=は、渡辺明棋王(38)=名人=を破り、6冠を達成。八大タイトルの制覇まで「あと2つ」に迫った。
棋王11連覇を目指した渡辺前棋王の過去10期の通算成績は30勝10敗(勝率7割5分)。カド番に追い込まれたのもわずか1局と、圧倒的な強さを誇ってきた。それだけに今シリーズ、藤井六冠の強さが際立った。
開幕前の両者の対戦成績は、藤井六冠が12勝2敗と大きくリードし、過去3回のタイトル戦も藤井六冠の全勝。秘策を練るなどして臨んだ渡辺前棋王に対し、藤井六冠は第1局で意表の桂打ちからペースを握り、リードを広げて寄せ切った。難しい中盤戦が続いた第2局も急所を突く攻めが決まり、連勝。第3局は痛恨の詰み逃しで逸したが、第4局ではそれを感じさせない指し回しで制した。
獲得タイトルも負けなしの13に伸ばしたことで、8冠完全制覇への視野もさらに開けてきた。残るタイトルは名人と王座の2つだ。
プレーオフで初挑戦を決めた名人戦は4月、七番勝負が開幕。谷川浩司十七世名人(60)が持つ21歳2カ月の名人最年少記録の更新に挑む。永瀬拓矢王座(30)に挑む王座戦挑戦者決定トーナメントも例年、4月頃から始まる。前年は同トーナメント1回戦で敗退しており、今年の対局が注目される。
藤井聡太五冠、棋王初奪取で最年少6冠達成 羽生九段以来2人目