恐竜図鑑

ジョン・マーティン「イグアノドンの国」(1837年) 

5月14日まで兵庫県立美術館(神戸市中央区)で開催中の特別展「恐竜図鑑」(産経新聞社など主催)の主な作品を5回にわたって紹介します。第2回はジョン・マーティン「イグアノドンの国」です。

まるで悪夢のように

ジョン・マーティン《イグアノドンの国》1837年 水彩・紙 30.2×42.6cm ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワ、ウェリントン Gift of MrsMantell-Harding, 1961. Te Papa (1992-0035-1784)
ジョン・マーティン《イグアノドンの国》1837年 水彩・紙 30.2×42.6cm ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワ、ウェリントン Gift of MrsMantell-Harding, 1961. Te Papa (1992-0035-1784)

同じイグアノドンでも、20世紀チェコのアーティスト、ズデニェク・ブリアンのものに比べると、こちらはまったくイケていない。

後ろ足でしっかりと立ち、ごつごつした皮膚感まで表現しようとしたブリアンとは対照的に、英国人画家、ジョン・マーティン(1789~1854年)はぬめぬめしたオオトカゲがくんずほぐれつもつれあっているように恐竜の姿を描いた。

この絵は、ブリアンの絵より100年以上前のパレオアート(古生物美術)の黎明(れいめい)期にイグアノドンの化石を発見した英国人医師、ギデオン・マンテル(1790~1852年)が著した「地質学の驚異」の口絵として描かれたもの。

もともとマーティンは断崖絶壁や大洪水、人々の阿鼻叫喚などを表現した絵が高く評価された画家だった。それゆえ人類誕生以前のおどろおどろしい世界のなかに爬虫(はちゅう)類的な生き物をまるで悪夢のように描き出したのである。それは19世紀ロマン主義の落とし子でもあった。

移り変わったイグアノドンの姿 神戸で特別展「恐竜図鑑」、東京にも巡回

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