フェラーリがSUV市場に参入するべく開発した「プロサングエ」に、大谷達也が乗った。スーパーカーの世界が大きく変わるであろう1台に迫る。
新世代のスポーツカー
北イタリアで試乗したフェラーリ・プロサングエは、完成度の点で私の期待をはるかに上まわっていた。それは、フェラーリの伝統的な価値をそのまま受け継いだうえで、従来のどんなクルマも持ち得なかった全方位的なパフォーマンスを備えた新世代のスポーツカーというべき存在だった。
まずは、その美しくも力強いスタイリングをご覧いただきたい。全高が1589mmもあるように見えないのは、全長、ホイールベース、そしてタイヤ・サイズなどの関係を綿密に計算したうえで、長いノーズとそれに続くコンパクトなキャビンを組み合わせた結果といえる。
そしてリヤフェンダーにはサラブレッドの後ろ足を思わせる筋肉質な膨らみを設けるとともに、リヤウインドウを強く傾斜させたクーペスタイルとすることで、「GTC4 ルッソ」よりもはるかに逞しく、そして精悍なエクステリア・デザインを描き出したのである。
ちなみに、車名のプロサングエはイタリア語でサラブレッドを意味する。
いっぽうのインテリアには、背の高いセンターコンソールで運転席と助手席を明確に区切る「デュアル・コンパートメント」という手法を採用。
美しい色調のレザー(再生素材を用いた「アルカンターラ」も選べる)と洗練されたデザインを組み合わせ、既存のフェラーリ以上に優雅な世界を創出させているように思う。
心地よい広さと適度なタイト感を絶妙にバランスさせた室内スペースの設定も、プロサングエのコンセプトにぴったりマッチするものだ。
アクティブサスペンションの効果
一般道を走り始めると、足まわりの動きがしなやかで、路面からゴツゴツした感触が伝わりにくい優しい乗り心地であることに気づく。