開幕試合の重圧とは無縁だった。18日に甲子園球場で幕を開けた第95回選抜高校野球大会。山梨学院の先発、林がテンポ良く投げ、5安打1失点完投。四球は1個、連打は七回に1度だけと危なげなく「初めての甲子園で開幕戦だったが、意識はしなかった」と涼しい顔で快投を振り返った。
冬場のトレーニングで威力が増したストレートを中心に、カットボール、チェンジアップを織り交ぜた。四回まではノーヒット。五回先頭に二塁打を浴びたが、後続の3人をわずか7球で片づけた。味方の好守にも助けられ、主将で遊撃手の進藤は「ストライク先行で守りやすかった。頼もしく見ていた」と話した。
新チーム発足直後の昨秋の山梨大会は背番号20。メキメキと頭角を現し、関東大会では10番をつけて全4試合に先発し、防御率0点台で優勝に貢献。明治神宮大会でついにエースナンバーを手にした。九回にきて疲れが見えたが、吉田監督は「追いつかれるまではエースでいこうと思った」。指揮官からの信頼は厚い。
チームは3季連続の甲子園。だが、前回大会の1回戦でタイブレークの末に1-2で木更津総合(千葉)に敗れるなど、甲子園では4試合連続で1点差負けが続いていた。スタンドで惜敗の悔しさを心に刻んだ林は「次も最少失点で切り抜けたい」。大黒柱に急成長した右腕は自信ありげだった。(鮫島敬三)