日独、中国依存リスク低減へ G7で足並み

共同記者会見を終え、握手する岸田首相(右)とドイツのショルツ首相=18日午後、首相官邸
共同記者会見を終え、握手する岸田首相(右)とドイツのショルツ首相=18日午後、首相官邸

18日に日独両政府が経済安全保障分野などの協力で一致した背景には、覇権主義的行動を強める中国への警戒感がある。ロシアのウクライナ侵略でロシアにエネルギー供給などを頼る危うさが浮き彫りになっただけに、工業国である日独両国が中国依存リスクの低減に動いている。

ドイツはかつては中国寄りの姿勢が目立っていた。18日に日本と初めて実施した政府間協議も中国とは以前から実施していたものだ。ただ、ショルツ首相は日本を重視する姿勢を示しており、昨年も中国より先に日本を訪れて岸田文雄首相と会談した。今回行った政府間協議は複数の閣僚が出席する必要があるが、ドイツ側から訪日を申し出たという。

ウクライナ侵略でドイツをはじめとする欧州諸国はエネルギーなどのロシア依存からの脱却を迫られた。同時に、ロシアと歩調を合わせ、欧米の民主主義国と異なる動きを見せる中国に、サプライチェーン(供給網)や商品の販売先として依存する危うさが改めて認識されるようになった。ドイツにとって中国はハイテク産業に必要なレアアース(希土類)などの供給元であると同時に、電気自動車(EV)などの主要市場でもある。

米国は半導体の輸出規制などを進め、中国経済のデカップリング(切り離し)に動いている。中国と経済的結びつきが強い日独両国は米国と同じ対応は難しいとはいえ、依存度の低減が欠かせない。

岸田首相は先進7カ国(G7)議長国として、1月にフランス、イタリア、英国、カナダ、米国の5カ国を訪問した。唯一残っていたドイツと首脳会談や政府間協議を行って協力を確認し、5月に広島市で開く首脳会議(サミット)に向けた「重要な一歩」(政府関係者)としたい考えだ。

サミットでは経済安保が主要テーマの一つとなる見込みで、外務省幹部は「G7で結束して動くには、中国と経済関係が深いドイツとの連携が欠かせない」と強調する。(田村龍彦)

日独、経済安保で協力強化 初の政府間協議

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