ウクライナの子供をロシアに強制連行したとする戦争犯罪の疑いで国際刑事裁判所(ICC)がロシアのプーチン大統領に逮捕状を出したことに、ロシアは大反発した。ロシアはICC非加盟国で、身柄引き渡しなどの義務は負っていないものの、プーチン氏がICC加盟国への外遊に慎重にならざるを得なくなる事態や、自国の威信失墜を危惧しているとみられる。一方、ロシアの責任追及を訴えてきたウクライナはICCの決定を歓迎した。
プーチン氏への逮捕状発行について、ペスコフ露大統領報道官は17日、「言語道断で容認できない」と指摘。「ロシアは他の多くの国と同様、ICCの法的権限を承認しておらず、ロシアにとってICCのいかなる決定も意味をなさない」と主張した。露外務省のザハロワ報道官も、ICCの決定は「法的に無効で、ロシアはその義務を負わない」と指摘。ロシアはウクライナの子供を「救済」しているとも主張した。
ボロジン露下院議長は「プーチン氏への攻撃はロシアへの攻撃とみなす」と主張。露国営メディア「RT」トップのシモニャン氏も「プーチン氏を逮捕する国を見てみたいものだ。その国の首都までの飛行時間はどれくらいだろうか」とミサイル攻撃を示唆した。
同じく逮捕状を発行された子供の権利問題担当の露大統領全権代表、マリヤ・リボワベロワ氏は17日、「ロシアへの威嚇だ」と述べた。露国営テレビでの発言をタス通信が伝えた。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、ICCの決定を「歴史的だ」と歓迎。コスチン検事総長は「プーチン氏は国外に出れば拘束され、法廷に引き渡される。各国の指導者は彼との握手や会談を熟慮するだろう」と指摘した。クレバ外相も「正義の歯車が回っている」と評価した。
イエルマーク大統領府長官は「ロシアによる子供の連行は1万6000件以上が記録され、実数はさらに多い可能性がある」と指摘。「これまでに返還されたのは308人に過ぎない」とし、今後も返還に向けた作業を続けると表明した。